子宮内膜症の約20-40%は卵巣にでき、チョコレート嚢胞となり、月経痛や不妊症などの症状をおこすことが知られています。子宮内膜症は、主に薬や手術によって治療を行いますが、月経のある間は再発することや、少ない確率ではありますが、癌化することも知られており、長期間の経過観察や定期的な検診が必要となる疾患です。子宮内膜症の発症原因は解明されていませんが、月経のときの血液が卵管を通してお腹の中に逆流し、そこで生着するのではないかという説があります。 最も頻度の高い自覚症状は、月経痛(月経困難症)ですが、月経時以外にも下腹部痛を感じることもあり、排便時の痛みや性交時の痛みも特徴的です。また、不妊症の原因となることも知られており、多くの生殖可能年齢の女性に影響を及ぼしています。
治療は、年齢、症状、妊娠希望などに応じて薬物療法や手術療法を組み合わせて行います。また、治療効果や副作用など確認しながら、適宜治療法を変更しながら長期的な管理が必要となります。
薬物療法は主に、鎮痛薬、低用量エストロゲンプロゲスチン製剤(低用量ピル)、GnRHアナログ、ジエノゲスト、レボノルゲストレル放出子宮内システムがあります。

鎮痛薬は、適切に使用すれば副作用なく痛みを和らげることが可能です。低用量ピルは、各種種類があり医師と相談のうえで各自にあったものを内服していただくことで、痛みが緩和されるいい面がありますが、血栓症などの重篤な副作用を起こすことがあるので、医師としっかり相談したうえで内服開始していただくことをお勧めします。

また、GnRHアナログには、点鼻薬、注射薬、内服薬があり、生理をとめることで、最も高い治療効果が得られる反面、更年期障害のような症状が出たり、骨密度低下といった副作用があるため、原則的には投薬は6か月を上限としています。

ジエノゲストは、毎日内服することで、疼痛が緩和する効果が期待されますが、不正出血や骨量低下などの副作用が起こることが報告されています。レボノルゲストレル放出子宮内システムは、子宮内に一定期間器具を挿入することで、疼痛の緩和が得られ、局所での作用であるために全身の副作用が出にくい治療法ではありますが、状態によっては不正出血などの副作用が考えられます。
一方、薬物療法が不適と判断されるような場合は手術療法が選択されます。その多くは、腹腔鏡手術です。卵巣の一部分だけ切除する場合と、卵巣ごと切除する場合があり、症例によって適切に選択を行っています。術後に再発する可能性もあり、手術療法と薬物療法を適切に組み合わせていくことが重要です。