早期では自覚症状がないこともあります。
外陰部の腫瘤、かゆみ、痛み、出血、潰瘍形成などがあります。
頻度としては稀(膣癌と合わせて1年間に100万人あたり約5-10人)なので、なかなか診断がつかないこともあります。
外来での生検(組織を採取する検査)で診断をします。
また、CT、MRI、PET検査などの画像検査で全身に転移などがないか精査をします。がんの広がりを調べるために、膀胱鏡検査や大腸内視鏡検査をすることもあります。
卵巣がんと診断された場合、がんがどの程度転移しているかの検査が行われます。
その結果、がんの拡がりの程度に応じて治療方法が変わってきます。このがんの拡がりの程度を病期といいます。病期は次のように分類されています。

 

I期 がんが外陰部または会陰部に限局している。
ⅠA期;最大径2cm以下の腫瘍で、間質浸潤の深さが1mm以下。
ⅠB期;最大径2cmを超えるかまたは間質浸潤の深さが1mmをこえるもの。
II期 がんが尿道または膣の下部または肛門に広がっている。
III期 がんが鼠径リンパ節に転移している。腫瘍の大きさは問わない。
ⅢA期
(i)5mm以下のサイズのリンパ節転移が1個あるもの、または
(ii)5mm未満のサイズのリンパ節が1〜2個あるもの
ⅢB期
(i)5mm以下のサイズのリンパ節転移が2個以上あるもの、または
(ii)5mm未満のサイズのリンパ節が3個以上あるもの
ⅢC期
被膜外浸潤を有するリンパ節転移
IV期 がんがさらに広がり膀胱、膣の上部、尿道の上部、直腸、より離れたリンパ節、または骨盤外など離れた部位に転移している。
ⅣA期;腫瘍が次のいずれかに浸潤するもの
(i)上部尿道及び/または膣粘膜、膀胱粘膜、直腸粘膜、骨盤骨浸潤があるもの
(ii)固着あるいは潰瘍を伴う鼠径リンパ節
ⅣB期;遠隔転移のあるもの
外陰癌に対しては,手術療法・放射線療法が有効とされていますが、全身状態や病気の進行期によって手術が可能な場合には、手術が選択されます。手術には,病変が取り除ける,病気の広がりを正確に把握できるといった利点があります。年齢やほかの病気のために,手術の負担が大きいと考えられる方や,明らかに手術では取りきれないくらい病気が広がっている方には放射線療法を選択することが一般的です。

癌の手術では再発を防ぐために,病巣から十分離して切除することが必要です。
外陰癌の場合は,外陰部の皮膚を大陰唇・小陰唇を含めて鼠径部の皮膚まで広範囲に切除します.この手術方法を広汎外陰全摘術といいます。
さらに,外陰癌は鼠径部のリンパ節転移を起こしやすく,そこからさらに骨盤内のリンパ節に進展していくことが多いので,鼠径部リンパ節の切除(これをリンパ節郭清術と言います)をあわせて行います.また病気の程度によっては骨盤リンパ節郭清を行うこともあります。
患者さんの年齢やがんのサイズ・深さに応じて、手術の侵襲を少なくするために、局所切除術(wide local excision)などの縮小手術を選択することもあります。 外陰部の皮膚を広範囲に切除するため,そのままでは傷をふさぐことが難しいと予想されます。
したがって,皮膚の欠損部に臀部の皮膚を移植して傷をふさぐことにします(皮弁術)。
これは形成外科の先生にお願いしています。腫瘍が膀胱や直腸に浸潤しているためにその間をはがせない場合,あるいは腫瘍が恥骨に食い込んでいる場合には,その時点で手術を中止し,放射線療法に切り替えることがあります.
手術で病巣から余裕を持って切除できたとはいえない場合、具体的には摘出した臓器の病理検査で,腫瘍が切除範囲の周囲にはみ出していたとき、筋肉への浸潤が深いとき、リンパ節に転移があったときには、骨盤内及び局所の再発を防ぐ目的で、術後の放射線療法をおすすめしています。