受精し成熟した胚を、胚移植周期に備えて凍結します。当科では基本的に凍結融解胚移植を行っているため、全ての胚を凍結します。胚は時期により分割期胚(受精後2-3日目の胚)と胚盤胞(受精後5-6日目の胚)に分けられ、当科では可能であれば胚盤胞移植を行っていますが、いずれを行うかは、おひとりおひとりの治療歴、病態に応じて外来でご相談いたします。 また、胚凍結保存の期限は採卵から1年間となっており、凍結期限の延長を希望される患者さまには、外来を受診の上で更新の手続きをお願いしております。
凍結融解胚移植の周期では、胚が着床できるよう、子宮内膜の状態・厚さを卵胞ホルモン(エストロゲン)、黄体ホルモン(プロゲステロン)という二種類の女性ホルモンで調節する必要があります。もちろん、後述のようにご自身の卵巣から分泌されるホルモンによって子宮内膜を育てること(=自然周期やHMG周期)も可能ですが、胚移植のタイミングが排卵の時期に大きく左右されるため、日程調節が難しく胚移植そのものがキャンセルになる頻度が高いという難点があります。そのため、当科では原則的にホルモン剤投与により子宮内膜の状態を調節する「ホルモン補充周期」による凍結融解胚移植を行っています。貼布剤や内服薬、腟座薬によってホルモン剤の投与を行います。胚移植は、採卵と同じく日帰り入院で行っております。単一胚移植を基本としており、子宮に細いカテーテルを挿入して行います。
副作用や合併症によりホルモン剤が使用できない方や、何らかの理由によりホルモン剤で子宮内膜が着床に適した厚さにならない方には、自然周期やHMG周期による凍結融解胚移植をご提案することがあります。自然周期は自然の卵胞発育からの排卵の時期をもとに胚移植のタイミングを決定します。HMG周期では、月経中からHMG製剤を使用することで卵胞発育を促し、排卵の時期から胚移植日を決定します。いずれも、卵胞が十分に育ってからは排卵を促進するHCG製剤を使用することが多いです。
子宮腺筋症を合併している場合、胚移植後の妊娠率や流産率が悪化することが知られていますが、これへの対策として、GnRHアナログ製剤を2か月前後使用してから凍結融解胚移植を行うことの有用性が報告されています。GnRHアナログ製剤は、一時的に卵胞ホルモンの分泌量を減らすことで子宮腺筋症の病勢を緩和し、病変を縮小させる効果があるため、妊娠率や流産率が改善すると考えられています。当科でも患者さまの病態に合わせてこの方法をご提案させていただいております。