脳下垂体ホルモン検査(月経開始後3~5日目頃) 脳下垂体は脳の中心部にあるホルモン分泌腺であり、多くの大切なホルモンを分泌しています。不妊症の関連としては、卵巣を刺激し、卵胞の発育を促すホルモンである卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体刺激ホルモン(LH)、卵巣から分泌されるエストラジオール(E2)が重要です。また同じ脳下垂体ホルモンの一つに乳汁の分泌を促すプロラクチン(PRL)というホルモンがありますが、このプロラクチンが高いと、LHやFSHの分泌を抑制し、排卵障害や黄体機能不全を起こします。これらのホルモンの検査として、月経周期の2日目から5日目の間に採血を行い、異常の有無を調べます。

  • 黄体機能検査(排卵後7日目頃)
    この検査は、排卵後に受精卵が子宮内膜に着床するのに適切な環境にあるかどうかを調べるためのものです。具体的には基礎体温上の高温相の7日目頃に採血により黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を測定します。黄体機能が不十分な場合、黄体機能不全と診断され、他のホルモン検査と総合的に判断し、ホルモン療法や卵胞刺激療法を行うことがあります。
  • 耐糖能機能(いつでも可)
    血糖値を正常に保つための働きを「耐糖能」と言います。耐糖能に異常があると、排卵障害や流産、胎児奇形などさまざまな原因によって、不妊症や不育症の原因となることがあります。また、糖尿病は、妊娠時、母体、胎児、そして新生児に悪影響をもたらすため、適切な治療が必要となります。耐糖能異常や糖尿病のスクリーニング検査として、採血で空腹時血糖やインスリンを調べます。検査前日の夜9時以降、検査の時まで、食事、甘いものなど、血糖をあげるものの摂取を控えて下さい。お茶などは取っていただいて結構です。
  • 甲状腺機能(いつでも可)
    不妊症や排卵障害の原因の1つとして、甲状腺(体温、代謝を保つ、喉のすぐ前にある組織)ホルモンの異常があります。治療により甲状腺機能を正常レベルに保つことで、排卵機能が回復し、妊娠予後も回復するとされています。甲状腺の機能については、採血で甲状腺刺激ホルモン(TSH)と甲状腺ホルモン(FT3、FT4)を調べます。採血のタイミングは、月経周期と関連なく随時可能です。
  • クラミジア抗体(いつでも可)
    クラミジアは大きさが細菌(バクテリア)とウイルスの中間に位置する微生物です。女性の子宮や卵管に感染すると、子宮内膜炎、卵管炎の原因となりますが、無症状のまま経過することが多く、放置しておくと卵管の機能が障害され、卵管性不妊の原因となります。 検査は、子宮頸部(子宮の出口)よりクラミジアの抗原を調べるPCR検査と、血液検査でクラミジアの抗体を調べる検査の2種類があります。検査結果により、現在感染していると判断された場合やこれまで治療されたことが無く新たに治療が必要と判断された場合は、抗生物質を服用して頂く必要があります。その場合、クラミジアは性感染症ですので、ご主人も同時に抗生剤を飲んでいただく必要があります。抗生物質を服用後のフォローアップについては、担当医の指示を受けて下さい。また、治療完全に終了するまでは、性交渉は控えていただきます。
  • 経腟超音波検査(いつでも可)
    子宮や卵巣の形状を確認します。子宮内腔に病変が疑われる場合は子宮鏡検査を行うことがあります。
  • 精液検査(いつでも可/平日午前)
    不妊カップルの約50%に男性因子が存在するといわれています。このため、ご主人より採取していただいた精液を調べる本検査は、不妊治療を効率よく、また正確な診断を行うために必要な検査となります。検査は予約制で平日午前中の9時半に受付しております。不妊外来受診時に担当医を介して予約するか、電話による予約も可能ですが、ご主人の保険証を使ってカルテを作成していただく必要がありますので、ご主人の名前での予約になります。ご主人のカルテがすでにある場合(東大病院を受診した事がある場合)はご主人のIDカードを使って予約してくだされば結構です。ご主人のカルテがない場合は、担当医にご相談ください。 採取した精液は、採取から少なくとも3時間以内に、特に温めたり冷やしたりせずに(冬季には衣服の中に入れるなどして外気にあたらないようにお持ちください)女性診療科外来にご持参下さい。 少なくとも禁欲期間を4日以上もうけ、所定の容器に精液を全量採取して下さい。特に最初に射出される精液を逃さないようにご注意下さい。またコンドームを使用しての採取はご遠慮下さい。(コンドーム内に精子を殺す薬剤が含まれているため。) 顕微鏡で観察して、精液量・精子濃度・運動率・運動性・奇形率などを調べます。
  • 性交後試験/ヒューナー検査(排卵日前後)
    排卵期近辺には、子宮の出口に分泌される頸管粘液の量や正常が変化します。この検査は、排卵期近性交渉をしていただき、頸管粘液の中に良好な運動を示す精子が認められるかどうかを調べるものです。精液の中の運動精子数が少ない場合や、頸管粘液の中に精子の動きを止める精子不動化抗体が分泌されている場合に、異常を示す可能性があります。これを、免疫性不妊といます。検査の予約を取った日の前日夜から早朝に夫婦生活をしていただいて、外来にて判定します。
  • 子宮卵管造影検査(月経開始後10日目前後/月曜または水曜の午後)
    子宮内に造影剤を注入し、レントゲン撮影をして卵管の閉塞や子宮の形状の異常がないか確認します。造影剤には、水溶性造影剤と油性造影剤がありますが、当院では、検査後の妊娠率が高まる油性造影剤を使用しております。月曜または水曜の午後に検査を行います。検査翌日にもレントゲン撮影があります。
  • 子宮鏡(月経終了後、排卵まで/月曜または金曜の午後)
    子宮内腔に病変が疑われる場合は子宮鏡検査を行うことがあります。子宮の中をカメラで観察し、子宮の形状やポリープの有無などを確認します。月曜または金曜の午後に検査を行っています。

一通りのスクリーニング検査が終わると、その結果に基づき治療を開始します。治療方針については、不妊外来グループ医師による討論(ミーティング)で決定し、その後外来担当医師から結果をご説明いたします。治療の途中で適宜必要な検査を追加したり、治療方針を変更したりする場合があります。その際にも外来担当医師から説明をいたしますので、ご不明な点がありましたら気兼ねなくご質問ください。

  • タイミング療法
    経腟超音波で卵胞発育をチェックします。そして、排卵日を予測して、排卵の少し前から排卵直後までの妊娠しやすいタイミングに合わせて性交を行うことで、妊娠の確率を高める方法です。排卵誘発剤を併用することもあります。
  • 人工授精
    排卵日に合わせて子宮内に濃縮した精液を注入する治療です。精液所見が軽度不良な場合、また排卵時期に合わせて性交をとる方法(タイミング療法)ができない場合、うまく行かなかった場合に行っています。 排卵日を予測はタイミング療法と同様に行います。排卵日の直前になるように人工授精の日程を決めます。人工授精の朝、持参いただいた精液を濃縮します(40分から1時間ほど時間がかかります)。内診台で人工授精用のカテーテルで精液を注入します。2022年4月から保険適応となります。