無月経(原発性・続発性)
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種類
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無月経には、原発性無月経と続発性無月経があります。
ここではその違いについて説明します。
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原発性無月経満18歳を迎えても初経が来ない状態です。
定義上は18歳となっていますが、15、16歳ごろになっても初経が発来しない場合には婦人科に受診していただくことが望ましいです。
染色体異常や遺伝子異常、先天性の生殖器の形態異常が原因によることもあります。以下に障害部位別の原因を挙げます。
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視床下部性 Kallmann症候群、特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症 (IHH) など下垂体性 一部のIHH (GnRH受容体遺伝子変異によるもの) など卵巣性 Turner症候群、卵巣発育不全、抗癌剤、放射線治療後など腟・子宮性 子宮形態異常、処女膜閉鎖症、腟閉鎖症など
- 乳房発育などの二次性徴の評価や外性器の評価、超音波検査やMRI検査、染色体検査等による原因の診断が重要です。原因によっては手術療法が必要になることもあります。
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続発性無月経それまであった月経が3ヶ月以上停止している状態をいいます。ただし、妊娠中、産褥期、閉経後などの生理的無月経は除きます。
続発性無月経の分類として、性ステロイドホルモン投与後の消退出血の有無による分類 (第1度無月経、第2度無月経) が挙げられます。黄体ホルモン製剤単独投与で消退出血を見るものを第1度無月経、黄体ホルモン製剤単独では消退出血が起きず、女性ホルモンを併用投与してはじめて消退出血が得られるものを第2度無月経といいます。
また、障害部位 (原因) 別に視床下部性無月経、下垂体性無月経、卵巣性無月経、子宮性無月経と分類されます。以下にそれぞれの部位別の代表的な疾患を挙げます。
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視床下部性 体重減少・心因性などによる視床下部の機能障害、Chiari – Frommel症候群、Argonz – del Castillo症候群下垂体性 Sheehan症候群、下垂体腺腫卵巣性 早期卵巣不全、手術による卵巣摘出、抗がん剤、放射線治療後子宮性 Asherman症候群、子宮内膜炎
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続発性無月経の原因の診断がついていない場合には、問診や婦人科診察、超音波検査、M R I検査、血液検査等で原因を突き止めます。
無月経の状態によっては骨量低下や高コレステロール血症等の今後のヘルスケア上の問題、不妊、女性ホルモンの持続作用による子宮体癌のリスク上昇などをもたらすため、患者さんの状態 (妊娠を希望されているか等) により適切な治療を選択し提示いたします。