胚移植を行う際に、移植日の子宮内膜が着床に適した状態にあるかどうかを調べる検査です。実際の凍結融解胚移植周期と同じプロトコルでホルモン補充を行い、胚移植の時期(プロゲステロン開始から約120時間)に外来で子宮内膜を採取し、検体を提出します。検査の結果、着床に適した時期がずれていた場合は、それに従って次周期以降の胚移植時期を調節します。なお、ERA検査周期では検査だけを行い、胚移植は行いません。
着床障害の原因として、子宮内の細菌叢(フローラ)や慢性子宮内膜炎がかかわっていることが知られています。通常はラクトバシラス属が90%以上を占める子宮内フローラのバランスが崩れていたり、慢性子宮内膜炎の起炎菌が増殖したりしている時に異常を検出するための検査がEMMA、ALICEです。ERAと同時に検査することが可能であり、当科ではこれら三つの検査を同時に行うTRIO検査を行っています。もし異常が検知された場合は、乳酸菌製剤の投与や抗菌薬の投与を行います。
子宮内に軟性子宮鏡を挿入し、子宮内を観察します。子宮筋腫・子宮内膜ポリープなどの病変の有無、および慢性子宮内膜炎の評価を行います。
着床期の子宮内膜組織を採取し、慢性炎症を反映する形質細胞の有無を見ることで慢性子宮内膜炎の評価を行います。
慢性子宮内膜炎の起炎菌の一種であるマイコプラズマの検出を行います。
TRIO検査に含まれる子宮内フローラについて、単体での検査も行っています。ラクトバシラス属が9割以上の分布を示すことが良い子宮内細菌叢であると判断します。